









SECTION 22
“よくやったよ、おめでとう。これで僕らは安心だ。”


















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その日、SECTION 22にて人類史を変える事象が観測された。
罪を清算され人類の生存圏内が地下の奥深くに追いやられてもなお、
人類はまた一つ新しい罪を重ねた。

後世に語り継がれる事もない名前の無い研究者は、
目の前で起きたことを再確認するために、震える手で記録用映像を映した。
大きな振動音、回転する金属音、救いを求めて泣き叫ぶ絶叫。
そしてパタリと一斉に静寂がやってくる。
それが研究者にとっての日常であった。

切り刻まれた肉体を映像に移る研究者が培養ポッドに入れ込む。
何の疑問も存在しない、日常のルーティン。

その日は何か違った。
環境か、投与物か、はたまた遺伝子か、
何かどこか匙加減を少し間違えただけなのだ。

“それ”は微弱な引力が肉体と肉体を引き寄せ合う。
ゆっくりと、ゆっくりと。
コポコポと酸素が循環される器。
小さな繊維が形成されていく。
ゆっくりと、ゆっくりと。
紐と紐が絡みあって、繋がっていく。
邂逅である。失われたものが寸分違わずに元の形に在ろうとする。
ゆっくりと、ゆっくりと。

やがてそれは新しく一つの形へと成った。
その日、何万何億もの実験の果てに人類はある到達点へと至った。
《再生される構造体》《幾つかの素材があれば再生する素体》《半永久的に持続する循環エネルギー》
そして人類の悲願であり、人類の禁忌。

クローン技術によって生まれた最後の神。
不老で、不死で、人類を導く存在。
彼女にまだ名前は無い。


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